椎名林檎とエレカシ宮本がコラボ!獣ゆく細道の歌詞を解説
2018年10月2日(火)に、突然、椎名林檎さんとエレカシ宮本さんのコラボ曲が発表されましたね。
私が最近心をわし掴みにされて購入した曲は、椎名林檎さんの『目抜き通り』と、エレカシの『Easy Go』でしたから。
この2人がコラボなんて、もうびっくりですよね。
そしてMVを見て、何度も何度もリピートしちゃいました。いくら聴いても飽きません。もう才能の塊!
特に宮本さんの和服姿、そして表情、ののしるような歌詞部分、極めつけは壁ドンシーンがたまらないですよね。
フルMVが無料で見れるので、買わなくても聴けるのですが、「ありがとう・感謝」の意味を込めて購入させていただきました。
2人の関係
椎名林檎さんと言えば、1998年にシングル『幸福論』でメジャーデビュー。
エレファントカシマシと言えば、1997年に『今宵の月のように』が大ヒット。
そんな曲が街に流れていた時、私は高校生。どちらも大好きな曲でした。
それから時が流れて20年後。
方向性がまったく違うかのように見えた2人がまさかのコラボに至るなんて、時が流れているようないないような。
しかもその才能は枯れることなく、さらに魅力がマシマシになっているような。
むかーし、椎名林檎さんが、「エレファントカシマシが好きです」とインタビューで答えていたことを思い出しましたよ。
2008年なので、10年前ですね。
「毎回、最新作が最高傑作」 |
「(エレカシの)『悲しみの果て』を初めて聴いた時に、母国語を使って歌詞を書くことにプライドを持って書きたいと思わされた」 |
と話されていて、椎名林檎さんがエレカシのファンであることを公言しています。
歌詞の解説
著作権の関係上、当記事に歌詞を全掲載できませんので、公式サイトのリンクを貼っておきますね。
椎名林檎さんが書く歌詞は、いつも私の中での第一印象は「難しい〜」。
そして、旧仮名遣いを使用しているので、さらに難しい〜。
例えば、「いる」は「ゐる」、「違ふ」は「違う」、「言ひ換へりやあ」は「言い換えりゃ」になります。
また、特に難しい漢字は、「生き乍ら」は「生きながら」、「悴むだ」は「かじかんだ」です。
その読みづらさや難解さがカッコよさを引き出していると思いますし、そこに惹かれますけれどもね。
椎名林檎さんが放つ歌詞には深い意味があって、たくさん伏線や遊びが入っているので、解釈する方も千差万別。
そのため、受け取った側(ファン)がそれを紐解こうという関係性がとてもおもしろいです。
その中で、この映像作家の柿沼キヨシさんの解説が、特に説得力がありました。
「これまでの宮本さんが発信し続けたメッセージを、自分なりに要約して歌詞にした」 |
という椎名林檎さんのコメントを受けて、それならばこうじゃない?と一つずつエレカシの歌詞と紐づけていく感じがとても爽快です。
さてここからは、私が気になった歌詞をいくつか。
まずは、この歌の真骨頂である、宮本さんが(林檎さんに?)ののしる言葉。
「御為倒しか、とんだかまとゝ」
読み方は、「おためごかしか、とんだかまとと」ですが、この「おためごかし」とは、相手のためにしているように偽って、自分の利益をはかることを言います。
私には聞き慣れない言葉ですが、芥川龍之介の「藪の中」や、手塚治虫の「陽だまりの樹」で出てくるようです。
「”御為倒し”を言いやがって!」と使うので、人に対してではなく、その行為のことを言いますね。
「そんな”お世辞”を言わないでください。」に使い方が似てますね。
そして、「かまとと」とは、何も知らないふりをすること。特に女性が世間知らずを装い、男ウケしようとすることです。
今で言う「ぶりっ子」(ちょっと古い?)のことですね。
つまり、「自分のためにやりやがって、このあざとい女め」とののしられているわけですね。はい、良いと思います!
また、なんて言ってるの?と誰もが思った歌詞。
「本物か贋物かなんて無意味」
これは、「モノホンかテンプラかなんてナンセンス」と歌っています。
モノホンやナンセンスは分かりますが、テンプラってなんぞや?ですよね。
「贋物」は「がんぶつ」や「にせもの」と読みますが、テンプラはあの天ぷらのことで、表面が衣で中身が具で異なることから、偽物という意味を指す明治時代に使用された隠語なんだそうです。
これも初めて知りました。勉強になります。
しかも、英語風に歌っているのもまた面白いですよね。
そして、最後のこの言葉。
「借りものゝ命がひとつ 厚かましく使ひ込むで返せ」
現代仮名遣いだと「借りものの命がひとつ、厚かましく使い込んで返せ」となります。
「一度きりの人生、思いきり生きようよ」というメッセージが、ハッと思わせるようなおしゃれな言葉を通して伝わってきます。
この言葉の選び方がほんとにハイセンスです。
動画のコメント
歌詞ももちろん、歌声ももちろんですが、MVが本当に最高です。
しかも、これをポチッと押せば簡単に堪能できるという・・・。YouTubeの時代よ、ありがとう!
そんな動画でのコメントでも、この曲に対する解釈や感想で大盛り上がりで、なるほどな〜と思うものばかり。
中でも、エレカシのファンが「ミヤジの魅力を最大限に引き出してくれてありがとう」という声が多いですね。
また、椎名林檎さんのファンも「エレカシを良く聞いたことなかったけど、これを機に興味を持った」という声がたくさん。
まさに、Win-Winの世界ですね。
ほんと、椎名林檎さんのプロデュース力と、宮本さんの歌唱力は凄いわ〜と圧倒されて、また動画を聴くという無限ループが始まります。。。
椎名林檎さんのファン目線、エレカシのファン目線、紅白で歌ったらどんな感じかな?Mステだったら?と何度も何度も聴いてしまいます。誰だよ。(笑)
ある方のコメントで、「もしかしたら椎名林檎さんから宮本さん(エレカシ)への30周年記念のプレゼントではないか」という意見があって、なるほど確かにそうかも、と思いました。
だとしたら、粋で最高なプレゼントですね。
『目抜き通り』との対比
2017年4月にトータス松本さんとコラボしたことが記憶に新しいですが、その時も興奮して記事を書いた私。
実はこの曲と対になっているんですね。そのことに気がついた時は鳥肌モノでした。
こんなところにも伏線を張っていたなんて!
まず、タイトルからして、対比です。「目抜き通り」とは「中心となる賑やかな大通り」のこと。
「獣ゆく細道」は読んで字のごとく、「獣が通るような細い道」のこと。
発表日は「目抜き通り」が4月。「獣ゆく細道」はちょうど反対の10月。
「目抜き通り」の歌詞に「銀座は春」「日本の夏よ」とあり、「獣ゆく細道」では「あきのよる」「ふゆを覚える」とあり、ちょうど四季が完結します。
そして、私、この曲を続きで聴いてみたんですけど、「目抜き通り」の最後と「獣ゆく細道」の始まりのテンポが同じ速さなんです。
つまり繋がっていること。実は「目抜き通り」の続きだったんですねー。
トータス松本さんからエレカシ宮本さんへのバトンタッチ。(なんだか名前も似ている)
ウルフルズの大ヒット曲「バンザイ」も1996年ですから、私の青春時代カムバックといった感じです。
他にももっと遊び心が散りばめられていると思うのですが、残念ながら現時点で気づくことはここまでのようです。
まとめ
何度聴いても飽きない「獣ゆく細道」。
色んなコメントを読んでまた新しい発見をして、そしてまた聴く(見る)という無限ループはまだまだ続きそうです。
平成最後の秋に、こんな素晴らしい曲をありがとう。
そして新しい元号の時代にまた、第二弾も魅せてほしいな、と思ってしまうのはきっと私だけではないはずです。
というわけで、期待せずに期待することにします!