芥川賞「コンビニ人間」が深すぎる。その感想とあらすじ。(ネタバレあり)
2016年上半期(第155回)の芥川賞受賞作の「コンビニ人間」。
アメトーークの読書芸人第3弾で、オードリー若林、ピース又吉、オアシズ光浦の3人ともオススメしたという異例の本。
どんなにスゴイ本なんだろうと、すぐさま買ってきて、実際読んでみました。
そして感じたことは一つ。う〜ん、なるほど、深い。
「コンビニ人間」というタイトルにも納得。
その感想とあらすじをまとめました。
芥川賞「コンビニ人間」の感想
その151ページという薄さの中に、難しい表現や、過激な性的表現はありません。
サラサラと読み進める中で、途中何度もガツンと心を揺さぶってくる言葉の数々。
ありのままでいると周囲から浮いてしまうので、周りに合わせて過ごしている主人公。
こうでなくてはいけないという常識、人の目。
息苦しいけれども、みんなそれに怯えて生きているのかもしれません。
そしてもう、怯えさえもせず、何も感じなくなってしまっているかもしれません。
例えば、「正社員として仕事をする。結婚をする。子供を産み育てる。」
この現代の日本では、それらのことを良しとされ、推奨されます。
そしてひとたび、その道から外れると、好奇の目見られ、理由を求められます。
そこに面倒臭さを感じ、何となくその道を歩んでいる人もいるのかもしれません。
しかし、もっと世の中を俯瞰して見てみると、ありのままで生きている人は必ずいて、自分を表現することで輝いている人がいる。
自分らしく生きることで、世の中に求められている人は確かにいる。
周囲の目や常識と、自身のあるべき姿のバランス。
それを深く追求することが、生きるということなのだと感じました。
芥川賞「コンビニ人間」のあらすじ
主人公は、コンビニで働いていることで、社会とのつながりを感じることができる毎日を送っていました。
恋愛する相手も不要。
特異に見られないように、喋り方や服装も周りに合わせる。
そのバランスがとれた穏やかな日々。
しかし、それが18年経っても同じ状況だったら・・・?
本人ではなく、周りがおかしいと感じてきます。
そしてそのことが、主人公を苦しめ、周りの意見に悩み、あらゆることを試み、環境を変えようとします。
彼氏・結婚・就職活動。
周りは「やっと普通になった」と喜ぶけれども、今度は自分が自分ではなくなっていく・・・。
そして、最終的には、「コンビニで働くこと」が自分のあるべき姿だったということに帰結します。
まとめ
「コンビニで働くこと」が自分のあるべき姿だったという結末が衝撃でしたが、それは例えば、野球選手になりたい。歌手になりたい。と同等の感情。
誰かの真似でもない、自分の場所を探し続けること。そして見つけたらそこに居続けること。
これがありのままを生きるということなのかもしれません。