芥川賞最年少受賞作「蹴りたい背中」の簡単なあらすじと感想(ネタバレあり)

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2003年下半期の芥川賞受賞作品「蹴りたい背中」。

著者の綿矢りさは当時19歳。

最年少受賞作として大きな話題となり、2017年今日でもその記録は破られていません。

その蹴りたい背中のあらすじと感想をまとめました。

「蹴りたい背中」のあらすじ(ネタバレあり)

舞台は男女共学のとある高校。

主人公は、女子高生1年の初実(ハツ)と、そのクラスメイトの男子高生・にな川。

ハツはクラスのメンバーに溶け込めないでいるが、そのメンバーを見下し、自分を正当化して毎日を過ごしている。

そんなある日、ふとしたことがきっかけで、クラスメイトの男子のにな川が気になる存在となる。

同じようにクラスの誰ともつるまず、いつも1人でいるにな川。

そこに共通するものを感じ、声をかけてくれるにな川に、何かと惹かれていく。

しかしにな川は、あるアイドルを追いかけている極度なオタクであることが分かった。

ハツは、にな川のことを知れば知るほど、これまで感じたことのない「蹴りたい」という感情が芽生えていく・・・。

「蹴りたい背中」の感想

高校という限られた世界の中で、常に、他人に合わせて愛想笑いをしていないと、グループの中に入れない。

1人だと寂しい。でも、ありのままでいたい。そしてそのままの自分を認めて欲しい。

そんな思春期の繊細な感情に、「にな川」という人物が入ってくる。

いつも1人ぼっちでいるにな川が、なぜか声をかけてくれる。

そこに自分と同じ気持ちを持っていて、そして、認めてくれたと感じることができた。

しかし、にな川のことを知れば知るほど、声をかけてくれたのも、家に誘ってくれたのも、あるアイドルを追いかけるための行動だった。

淡い期待と裏切られた寂しさ。周りを気にしない態度への憧れ。

様々な感情が「蹴りたい」衝動に駆られてくる・・・。

登場人物は高校1年生の男女。
でも、ただのありきたりな恋愛感情とは少し違う。

それを「蹴りたい」という言葉で表現していることが、他の恋愛小説とは一線を画しているのでしょう。

主人公ハツの細やかな感情と、それを彩る美しい文章が、この小説の魅力です。

まとめ

「さびしさは鳴る」という美しい書き出しで始まる小説。

寂しい、認められたい、触れたい、知りたい。

様々な感情が総合して終着した「蹴りたい」という気持ち。

きっと誰もが感じたことのある、表現できないあの気持ちを思い出させてくれる一冊です。

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